LLP(有限責任事業組合)設立
ここでは、LLP設立に必要なこと、LLP契約書の作り方、LLP契約書作成のポイント、LLP契約の変更、などについて見ていきます。
LLP設立に必要なこと
LLPの設立には、次の手続が必要です。
- 組合員全員でLLP契約(有限責任事業組合契約)を締結。
- 契約に盛り込んだ出資金を全額払い込む。
- LLPでは事務所を設けるが、その事務所の所在地を管轄する法務局に契約の登記をする。
このうち出資金ですが、LLPでは現物出資も認められており、その場合は、出資する現物すべてを給付する必要があります。
組合員同士においては、1.と2.を完了した段階で契約の効力が発生することになります。
LLP契約の内容
有限責任事業組合契約に関する法律(通称「LLP法」)の第4条により定められた、必ず契約書に盛り込まなくてはならない事項というのがあります。そして、その契約書に組合員全員が署名または記名押印する必要があります。
必ず契約書に盛り込まなくてはならない事項は以下の通りです。
- 組合の事業内容 (※営利事業目的でないとダメ)
- 組合の名称
- 組合事務所の所在地
- 組合員の氏名または法人の場合は名称、そして住所
- 組合の契約の効力発生年月日
- 組合の存続期間 (※期間延長に関する定めもしておきましょう)
- 組合員の出資の目的と価額
- 組合の事業年度
なお、組合の事業年度の期間は1年を超えてはなりません。
一方、組合契約書に組合員総意の判断で盛り込むことが出来る事項には、次のようなものがあります。
- 組合員の死亡等、法律に定める以外の脱退に関する定め
- 組合員の除名は該当者を除く全員一致の必要がないとする定め
- 業務執行の決定について、多額の借財など法律が定める事項を除き、総組合員の同意の必要はないとする定め
- 組合契約のうち、事務所所在地や事業年度などの変更方法
- その他、LLP法に反しない事項などです。
LLP契約の変更
LLP契約は、上記のものなどを除き、原則組合員の総意により変更することができます。
変更した場合、株式会社の定款と同様に変更登記が必要です。
LLP契約の登記
これは、司法書士の仕事になりますが、登記はLLPの主たる事務所の所在地においては2週間以内、その他の事務所の所在地では3週間以内にすることとされています。
登記事項は、登記申請書を作成し、そこに以下の内容を記載します。
- 組合の事業
- 組合の名称
- 組合事務所の所在地
- 組合員の氏名または法人の場合は名称、そして住所
- 組合の契約の効力発生年月日
- 組合の存続期間
- 組合員が法人の場合は職務を行う者の氏名、住所
- 組合契約書に法定の解散事由以外の解散事由を定めたらその内容
これは、組合契約書に必ず記載する事項と一見似ていますが、微妙にちがいますので注意してください。
さらに、上記申請書に添付する書類がいります。
- 組合契約書
- 出資払込金受入証明書
- 印鑑証明書
- 登記事項証明書
- 組合員が法人なら業務執行者の選任決定を証する書面
- 組合員が法人なら業務執行者の就任承諾を証する書面
- 申請代理人権限を証する書面
これら、一連のものを添えて、LLP事務所の所在場所を管轄する法務局で登記申請をします。
そして、登記が完了すれば、「登記事項証明書」をとっておきましょう。税務や労務関連の添付書類、金融機関や取引先との取引開始時に必要になることが考えられますから。
また、現物出資に関しては、出資の給付があったことを書面に残すよう、「財産引継書」を作成します。それも登記申請のときの添付書類として必要になります。
LLP設立のながれ
| 【LLPの設立】
| 【株式会社の設立】
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| 組合員による組合契約の作成
| 発起人による定款作成
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| ↓
| ↓
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| 出資金の払込・現物出資の給付
| 公証人による定款の認証
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| ↓
| ↓
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| 組合契約の登記申請
| 株式発行事項の決定
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| ↓
| ↓
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| 組合契約の登記完了
| 発起人の株式引受
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| ↓
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| 株主募集・株式割り当て
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| ↓
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| 資本金の払い込み
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| ↓
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| 検査役選任
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| ↓
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| 創立総会
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| ↓
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| 取締役・監査役の選任
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| ↓
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| 設立手続調査
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| ↓
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| 設立登記申請
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| ↓
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| 設立登記官僚
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このように、株式会社に比べてLLPは設立手続のポイントが少なく、株式会社の設立より書類審査にかかる時間は1週間から10日短くなる見込みです。
ただ、実際問題としては役所での審査期間が短くなるだけで、設立者間においては、契約内容を決める、出資金を払い込む、に時間を要したりすることが考えられます。
LLPへの出資
まず、押さえていただきたいのは全組合員が出資金を全額払い込む、または、現物出資を全部給付、しなければLLPは設立できない、ということです。
では、出資金はいくら必要なのでしょうか?
答えは、「1円」です。各組合員の出資額に下限はなく、1円以上あればいくらでもかまいません。ただ、LLPは個人単独では出来ませんから、現実としては、最低2円からの設立となります。
次に、先程来述べております現物出資ですが、これには動産や不動産、有価証券などが含まれます。なにが含まれるかの基準は、貸借対照表に計上可能な現物資産かどうかでお考えください。
さらには、同じく貸借対照表に計上可能な知的財産も出資対象となります。一方、労務の出資は認められておりません。これは、設立されたLLPに対する債権者の権利を保護するためです。組合員全員が労務出資で設立されたとなりますと、債権者は困りますからね。
いかがですか、LLP設立の流れをつかんでいただけましたか。では、LLPのその他のことはどうなっているのか、に移りたいと思います。
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